第63号 アーユルヴェーダ 「季節の過ごし方 1,2,3月」

アーユルヴェーダ….季節の過し方、1,2,3月

1月

アーユルヴェーダでは、味とか匂いが、ドーシャ(体質.気質)に影響して生体に大きな作用を及ぼすことを教えています。食物ばかりでなく、薬や金属なども六味(甘、酸、塩、辛、苦、渋)を持っていると言います。そして体質や病気の種類、季節の違いにより、どのような味の食物を取ればよいかを指示しているのです。原則として、食事毎に六種類の味の食物を取るのがよいと言われています。しかし、季節や体質により、食物のバランスが異なります。季節に適した取り方の例としては、一月のようなヴァータ(風の要素)の旺盛な季節には、ヴァータを鎮静化する甘、酸、塩の味の食物を多めに取るのがよいでしょう。また、ヴァータの属性である乾、粗、軽の質を和らげるために、その反対の'性質を持つ油性の食物がよいのです。但し苦味の食物は通路(スロータスー目に見えない養分の通り道、これが詰まると体調を崩す)を浄化するので、体質や季節にかかわらず適度にとることを心がけるとよいでしょう。
 冬の季節に合った食品と言えばラーメンです。北海道のサッポロラーメンが美味しいのも、また木枯しの吹<冬の夜には無性に醤油ラーメンや塩ラーメンがほしくなるのも、アーユルヴェーダの理論にかなったことです。但し、ラーメンの中の塩分や油は多すぎて、カバ(水の要素)を増悪させることになりますので注意してください。その蓄積したカパが春になって溶け出し、鼻炎を起こすのです。特に消化力の落ちる真夜中にラーメンをすするというのは、アーマを蓄積させて病気の基になるので控えましょう。

2月

 2月は、大寒です。もっとも寒い季節はヴァータ(風の要素)とカパを増大させます。雪が降ればカパが増大し、シーンと凍てつけばヴァータが増加することでしょう。しかし消化の火であるアグニは強くなります。とにかく、この季節には温かい物をとることです。ついつい、こたつで縮こまってしまいますが、体が硬くなるばかりです。昼間になって暖かくなれば運動も充分行
なうとよいでしょう。但し朝方の寒い内は、無理に運動しないようにしてください。食事では、ラーメンのような消化に重い食物でも、消化の力が強くなる季節です。カパを増加させないためには、あたたかいソバに七味をきかせてとる方がよいでしょう。但し、夜遅くに食べるのだけは控えましょう。

3月

三月になると、梅の花も咲き始め、二月の乾いた厳しい冷たさに、湿っぽさが加わってきます。気温もじょじょに緩みはじめてきます。冬の間乾いた寒さで固まっていた体内のカパが溶け始めてくるのです。花粉症も出現してきますが、この花粉症はカバの溶ける典型的な症状です。現代医学では外から花粉が作用することで症状が出現すると考え、花粉を寄せ付けない特殊眼鏡やマスクなどが売られています。これは患者自身にも責任があるのに、花粉に責任転嫁しているのです。病気の場合ばかりではなく、生き方全体においても現代人は同様な考え方をする傾向があります。しかし、東洋の哲学や手法を知ることにより、病気に対する考えばかりではなく、人生観全てがかわってくる人が多いようです。そのように、病気というより病人の人生全体に対して示唆を与えてくれる医学はホリステイック(全体)医学と呼んでもよいでしょう。まさにアーユルヴェーダやヨーガはホリステイック医学なのです。西洋から起こってきたホリステイック医学ではありますが、その原型は実は東洋医学であるヨーガやアーユルヴェーダ、漢方、気功にあるのではないでしょうか。いまになってやっと、人々はそのことに気づき始めました。
『やさしいアーユルヴェーダ』上馬場和夫箸より