第65号 アーユルヴェーダ 「食品とドーシャ」

アーユルヴェーダ.…食品とドーシャ
アーユルヴェーダでは、心身の健康にとって食事が大切であることを強調しています。例えば、甘い饅頭を一個食べてみてください。口の中に入れた時、どのように感じますか。ほっとしておいしいなと幸福感に包まれることでしょう。運動で疲れた人(ヴァータが増大している)の場合は元気も出てきます。しかし、満腹の時に食べたり、あるいはカパ体質の人では、甘い物を食べるとだるくなったり、鼻汁がでてきたりすることがあります。つまり甘い物を食べると、ヴァータ(風の要素)のバランスが良くなるのです。しかし、カパが増大している人では、甘い物がカバを増大させるため、重い性質や水が体内に増加して、だるさや鼻汁が出てくるのです。アーユルヴェーダでは食物に六つの味(甘味、酸味、塩味、辛味、苦味、渋味)と六つの,性質(重性、油性、熱性、軽性、乾性、冷性)があるといいます。その味や性質自体にドーシヤを変動させる作用があるのです。(表1)

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現代医学的にも、味(酸味、塩味)だけの作用により、血圧上昇と心拍数増加(ピッタの不安定化)がもたらされることが報告されています。食品の素材そのものの味や性質に加えて、調理法や味付け、熱いか冷めているかによっても味や性質が変わることも良く覚えておいてください。但し、これらには例外を示す食物があり、その代表が蜂蜜です。蜂蜜は甘いのですが、カパを増やしません。逆にカバを減らして、肥満を治療できるとまで言われています。但し、蜂蜜は加熱すると逆にアーマ(毒素)を溜めてしまう作用がありますので、注意してください。
 また、食物は心の性質にも影響します。つまりサットヴァ(善'性)を高める食物、ラジャス(動`性)を高める食物、タマス(暗性)を高める食物というふうに分類できるのです。激辛食品を食べ続けますとラジャスが高まり、攻撃的な性格になります。また、保存食品やレトルト食品はタマスを増やしますので、怠惰でやる気のない性格になるでしょう。逆に、活動的でない人にラジャスを増やす食物を与えますと、元気になります。けれどもアーユルヴェーダが最も勧めるのは、サットヴァを高める食物です。サットヴァを高める食物をとることで、ドーシヤのバランスがとれるのです。でんぷん類は、一般的に甘い食物ですのでサットヴァを増やすようです。肉類はラジャスを増やします。ですから肉食にすると攻撃的になるのです。油っこい食物や食べ残した古い食物はタマスを増やします。ただ、にんにくやたまねぎなどラジヤスを高める食品も、怠惰なタマス的な人には必要となります。食品の心への影響は次のようにまとめることができます。

サットヴァ(善性)を増やす食品=美味、油質、腹持ちが良い、食後に心地よさを感じる。
ラジャス(動'性)を増やす食品=過度に苦く、酸っぱく、塩辛く、刺激的で、油気がない。
タマス(暗性)を増やす食品=古く、味を失っているもの、食ぺ残しや、悪臭のあるもの。