第28号 血管の若返り呼吸法

  • 健康……血管の若返り呼吸法

 鼻から吸い込まれた空気は、肺の中で肺胞と呼ばれる小さな袋に行き着きます。肺胞はぶとうの房のような形をしていて、左右それぞれの肺に約3億個あり、その表面積は人間の皮膚の表面積の50倍近くあります。正しい呼吸をすると、この肺胞の壁から全身の臓器を若返らせ、動脈硬化や高血圧を防ぐ物質が分泌されることが最近の研究で分かりました。

 その物質の名はプロスタグランジンI。発見者は自治医科大学の北村諭教授で、具体的には「①血管を拡張して血圧を下げ、全身の隅々にまで血液を行き渡らせる。②血小板の凝集を抑え、血栓ができにくくし、脳梗塞心筋梗塞を予防する。③血液中のコレステロール中性脂肪が動脈壁にしみこむのを防ぐ。④血管を収縮させるカテコールアミンというホルモンの分泌を抑える。」と述べていらっしゃいます。

 さて、その正しい呼吸とはヨーガの完全呼吸のこと(27号では丹田呼吸として紹介)、つまり、息を完全に吐き、下腹で吸い、更に胸に息を満たして行く呼吸法です。呼吸法は本当にすばらしいですね。

(倉本英雄著「はつらつ人生を送るために」上巻より要約)

 

  • 図書紹介……かしいけいこ著「ヨーガに親しむ」

 NHK制作のヨーガ番組に多く出演されているかしい先生の最近著。ヨーガ、アーユルヴェーダ、そしてヨーガと仏教について分かりやすくまとめられている。東方出版 1,500円

 

  • 瞑想ノート……禅・カウンセリンググループ

 禅とカウンセリングには共通点が多くあることを前回述べました。しかし実際にはよほどの事がないとカウンセラーを訪れることはなく、ましてやカウンセリングが禅と共通していると理解し、禅の修行のためにやってくる人などあり得ません。(それも歓迎いたしますが)

 そこで勧められるのが5~10名程度のグループでおこなわれるグループカウンセリングです。参加者は自分の抱えている問題をグループの中で打ち明けても良いし、黙って人の話を聞いていることも許されます。誰かの悩みが打ち明けられると、グループのメンバー全員がカウンセラーになったような気分になります。そしてその人のために、あるいは自分のために、一生懸命どうすればよいのか、あるいはどうその人に関わればよいのかを、自然に考え始めているのです。

 このグループには多くの気づきと学び、理解と癒しがあります。たとえ何もしゃべらないでいたとしても、多くのことを感じることでしょう。また悩みを打ち明けた人は、自分から悩みが遊離する(27号参照)感覚を持つでしょうし、その人に関わった人はコミュニケーションの難しさ、奥深さ、すばらしさに気づくでしょう。

 人間は表現すること、そしてそれが理解されることに対して大きな欲求を持っています。それなのに、日常に交わされるコミュニケーションは、まるで心など存在しないかのようなすれ違いだらけなので、自分を表現しようという気も起こらなくなっていますし、表現のないところに理解もあり得ません。上滑りな会話が交わされるのみです。

 日常はそうなのですが、このカウンセリンググループの中では、どんな人の話も非常に注意深く、完全に理解されるまで聴かれます。そうした相互理解が進むにつれて、メンバーは自然にお互いを受容するようになり、とても暖かく、爽やかな気持ちを味わうのです。

 禅とは、爽やかさです。一対一のカウンセリングより、むしろグループカウンセリングの方が、たくさんの人の目があり、たくさんの考え方、受け止め方が凝集している分、禅の境地に近づきやすいかも知れません。癒されたい方、気づきたい方、見つめたい方、理解したい方、学びたい方、一心塾にお越しあれ。

1996年1月30日