第21回 「呼吸法② 腹式呼吸」

 気持ちを集中して腹式呼吸をしばらく行っただけで、気分がすっきりします。普段から胸式呼吸を行っている人は、落ち着きがなく、いらいらすることが多く、また便秘または下痢気味ですが、練習により腹式呼吸が身に付くと、無意識に行う呼吸も腹式になり、それらが改まって行きます。また、息をするたびに腹部臓器が刺激され、それらの働きが衰えることがありません。

<練習方法> 腹式呼吸は横隔膜呼吸とも呼ばれます。横隔膜を下にさげることで息を吸いますので見かけ上おなかが膨らみます。吐いたときにはおなかが凹みます。 もともと緊張や不安の傾向が強いから胸式呼吸になるのか、胸式呼吸を続けているから緊張や不安が強いのか、その因果関係は分かりませんが、リラックス法や呼吸法や瞑想を続けるうちに、緊張も不安も解消されて行きます。

深く吐く 深く吐く練習をします。吐くことでおなかを凹ませます。凹んだ分だけ、楽におなかで吸えます。歌ったり、お経を唱えるのは非常によい練習になります。

へそを押さえる 両手の親指を脇腹に当て、両手の中指同士をへそに当てます。親指以外の四本指をきちんと揃え、吐きながらへそを深く押さえます。このとき指を曲げないで直角に突き立てるように押さえてください。指をゆるめながらおなかに吸います。4~5回繰り返します。ただし、食後や妊娠中、生理中、下痢のときは行いません。

 

  • 瞑想ノート……理解が精神的成長を促す

 子供は親に対して常に100点満点を要求します。しかしそんなに高い期待を掛けられても親は応え切れません。子供が親に対して「バカ」とか「クソばば」とか罵るのは子供の要求を満たしていない現れです。親は憎まれやすい存在です。

 しかし子供も精神的に成長してくると、親も人間なんだという単純な事実に気づき、100点を要求する方が無理なのであり、親のありのままを受け入れようという態度に変わってきます。そのとき子は親を許すことができるのです。しかし現実には子供の親に対する期待と、その反動である反発が長年続くことが多いようです。それは精神的な成長が難しいことを意味しています。

 厳しい環境に置かれれば精神的に成長するというものではありません。私たちはそういう幻想を抱きやすいですが、厳しい環境で精神を病んでしまうこともあります。精神的成長に必要不可欠な要因は理解です。理解があれば人は期待に応えますし、厳しい環境にも耐えて行けます。子供が親に望む最大の要求もまた理解です。子供の心をしっかり理解してあげればきっと100点満点が返ってくるでしょう。

 もしあなたが誰かからしっかり理解されていると感じるならば、あなたの心の内には安心感が広がっているはずです。その安心感からあなたは厳しい環境にも耐えようとします。またその良き理解者は必ずあなたの成長を静かに期待しています。するとあなたもその理解者の心を理解して自らを成長させようとします。そうするうちにあなた自身が良き理解者になって行き、あなたの周りの人のありのままを受け入れられるようになるのです。

 また理解は他人に対してのみ向けられるものではありません。自分の心を理解してください。自分の心を理解できない人が他人の心を理解するのは不可能です。瞑想しながら根気よく自分に問いかけてください。自分の心は今どういうふうなのかと。もし自分が自分の最大の理解者であるなら、もう周りに理解者がいないと嘆くこともないでしょう。理解こそ最大の愛の行為です。

1995年11月5日