第6回 「バッタのアーサナ」

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ウエスト、ヒップ、大腿にかけての筋肉を引き締めます。また、腎臓の働きを活性化する効果があります。腎臓には①体の水分量を一定に保つ、②血液中の不要物や毒素を尿と一緒に対外へ出す、③血液の塩分と酸性度を一定に保つなどの働きがあり、効果や病気などによって腎臓の働きが弱るとそれらの機能が衰えて、体がむくんだり、血圧が高くなったりします。
 
アーユルヴェーダ……白湯健康法
 
 人間の体温は常に一定に保たれています。それは消化器官も例外ではなく、冷たい水やジュースをがぶ飲みすれば、胃の温度は急激に下がり、それを補おうとしてエネルギーが補給されるため体が疲れたような状態になります。それだけではなく、胃腸に機能障害が起きることも良くあります。
 そこでアーユルヴェーダでは水やジュースの代わりに白湯を飲むことを勧めています。白湯は消化機能を高め、体の毒素を洗い流し、味覚を改善してくれます。朝起きて白湯を飲み、食事中も白湯をすすりながら、何かにつけて白湯を飲むのがアーユルヴェーダ流です。
 
●瞑想ノート……カルマヨーガ
 

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 カルマとは行為が原因を作り、原因が結果を生み、その結果を見て行為を決定するという三角関係を表現したものです。行為と原因は直接的に結びついた関係ですが、原因と結果は時間的に幅があります。今作った原因が次の瞬間に結果となって現れることもありますし、何十年も経ってから現れることもあります。また結果と行為の間には知性が入り込む余地があります。現れた結果を反省し、もっと良い行為を行い、良い原因を作ることも可能ですし、無反省のまま悪い原因を作り続けることもあります。
 カルマとは宇宙的な絶対法則であり、輪廻という考え方はこのカルマの法則が守られるように導き出された概念です。つまり一生の間に作った原因の結果をその一生の間に享受することができるとは限らないので、私たちは結果を被るべくまた生まれ変わるのです。そうでなければカルマの法則の絶対性が崩れてしまいます。
 カルマヨーガの一つの意味は知性を働かして良い原因を作ることです。健康維持のために行うアーユルヴェーダ的生活は一つのカルマヨーガですし、世の中のためになる仕事に就くことや奉仕活動も同様です。良い家族関係を保つことや、自分を教育することもカルマヨーガと言えるでしょう。
 しかしカルマヨーガのもっと大切な意味は「完全なる行為」を行うことにあります。それは「自分が行為者である」という自覚を捨て、無我の境地で淡々と行うべき義務を果たしている状態です。しかもその行為を行うことは何よりも喜びに満ちているため、心は完全にその行為自体に集中しています。言い換えれば「今」に集中しているのです。
 行為者としての自覚が残っているときは、行為によって作られる原因は自分の中に蓄えられますが、自覚がないときには原因はどこにも蓄えられず、従って結果を被ることもありません。そのとき私たちは結果に束縛されることがなくなり、完全なる自由の境地に到達します。
 何か仕事や奉仕活動をしているとき、それがとても楽しくて一生懸命集中して行うとき、それは完全なる行為です。しかしお金のためとか、名誉のためとか思いながら行えばカルマに捉えられ、「給料が少ない」とか「活動が認められない」などの不満を結果として得るのです。
 最初から無我の境地で行為ができるものではありませんが、喜びを持って日々の活動にいそしめば、無我のなんたるかを理解できるようになるでしょう。もし日常の活動に喜びがもてないようなら、それはその活動があなたに適していないか、またはあなたの自我が不平を言わせているかです。慎重に考え、あなたが喜びを持って取り組める行為を生活の中に増やして行きましょう。本当の義務を発見しましょう。そして次第に完全なる行為に近づいて行きましょう。
 
1995年5月20日発行