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第54号 真理への瞑想「ヨーガとヴェーダンタ哲学」

  • 真理への瞑想……ヨーガとヴェーダンタ哲学

 私たち(インド人)は先祖から二つの素晴らしい財産を受け継いでいます。それはヨーガとヴェーダンタ哲学です。ヴェーダンタ哲学とは神からの直接的な知識と智恵であり、ヨーガとはヴェーダンタ哲学を体得するための科学的な方法です。

 ヴェーダンタ哲学は大胆に宣言します。「我は神なり。我は形なく、その本質において全てに普遍である。」また、「我は感覚を超え、心を超えた、輝かしくも賢明な意識の本随である。」と。

 ヴェーダンタ哲学における最も重要な主張は「あなたは神そのものである」ということです。あなたは不完全で、有限な、ただの人間ではない。あなたは本質的に神そのものなのです。あなたの真実の姿は神なのです。あなたの人間としての性質は一過性で、一時的にあなたに付け加えられた属性に過ぎません。もちろん、その人間としての性質も大変重要ではありますが。

 あなたの本質は外見とは異なります。外見は常に移り変わる一過性のものです。名前や形といった外見を超えたところに、光り輝く絶対的な存在、絶対的な意識、そして至福というあなたの本質があります。この存在、意識、至福(sat-chit-ananda)こそがあなたの本質、真我、即ち神なのです。あなたは決して、くだらない、無価値な存在ではありません。

 あなたが自己の本質である真我に近づくにつれて、不安、痛み、苦しみ、困難、執着、悲しみ、戸惑い、恐れから解放されて行きます。そしてついには、壊れることのない、永久の喜び、穏やかな平和と至福に至ります。それこそがあなたの本質です。

 神は全てに行き渡っています。全ての名前と形あるものの中に潜んでいます。全ての創造物において最も重要な中心を占めているのが神です。地球上には数の上で人間を上回る、無数の生物が住んでいます。しかし、昆虫や爬虫類、魚、鳥、獣といった身分では、自己の本質である神を理解する能力も、神を実現する能力も持ち得ません。ところが人間は感じ、考え、理由付けすることができ、自己実現や自己を直覚するための合目的的な行動を行う能力を持っています。

 つまり、人間の意識や知性は、神を経験できるだけの能力を持っているのです。その能力を正しい方向に、効率よく利用すること、それがヨーガにおける重要事です。つまりあなたの本質、真我、内なる神と常に接し、常にそれと関係しながら生きて行くこと、それがヨーガなのです。

スワミ・チダナンダ講話集ponder these truthsより要約

 

  • 解説……サット・チット・アーナンダ(存在-意識-至福)

 ヴェーダンタ哲学とは古代インドのバラモン教聖典群である『ヴェーダ』の奥義を表わし、インド哲学の根幹を成しています。「ウパニシャッド」という言葉もヴェーダンタ哲学と同義です。

 本文にあるような、内なる神(真我、アートマン)と絶対神ブラフマンとは合一であるという考えは、7世紀前半にシャンカラという哲学者によってまとめられた、不二一元論の影響を受けています。これに対し、信仰によって崇められる神と真我とは別である、という二元論も存在しています。いずれの考えも仏教に大きく影響を与えていますし、宗教全般を理解する上でも最も重要な思想です。

 サット・チット・アーナンダとは真我がどのようなものであるかを言い表した言葉です。サットとは名前や形という無常を超えた絶対的存在、チットはこの宇宙や大自然をつかさどる法則、あるいはとしての絶対意識、アーナンダとは全ての物の本質であるところの、この上ない幸福、愛を表しています。

 ところで本文では地球上の生物の中で人間のみが神を知り、神を実現する能力を持つように言っていますが、最近のイルカやクジラの研究は、そうした人間の思い上がりに疑問を投げかけています。

1996年11月4日