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第44回 バガバッド・ギーター 14 第6章要約

  • バガバッド・ギーター……第六章要約

 万物との一体感を持ち、万物に存する私(神)を信愛するヨギは、いかなる状態にあっても私の内にある。31

 悲しみにあるとき、万物の中にも悲しみを観じ、喜びにあるとき、万物の中にも喜びを見出す人は最高のヨギである。その人は万物の中に自らの心と同じものを観る32

 

 アルジュナは言った。「あなたはヨーガを成功も不成功も含め一切を平等に観る境地であると説いたが、クリシュナよ、私はその不動の境地を見いだせない。心が動揺するから。(33) 実に心は動揺し、かき乱れ、頑固である。それは吹き荒れる風のように抑制され難いようい私には思われる。(34)」

 

 クリシュナは告げた。

勇士よ、確かに心は動揺し、抑制され難い。しかし、それは常修と離欲によって制御可能となる。35

 心を制御しない者はヨーガの境地、すなわち平等の境地に達し難いと私は確信する。36

 

 アルジュナは尋ねた。「ヨーガを信じてはいるが、自己を制御せず、その心がヨーガから逸れた人は、ヨーガの成就には至らずに、どんな結果を迎えるのだろうか、クリシュナよ。(37) 彼は絶対神の道において迷い、拠り所を失い、ちぎれ雲のように滅びてしまわないか。(38) クリシュナよ、この私の疑惑を残らず断ち切ってくれ。この疑惑を断つ人は、あなた以外にあり得ないから。(39)」

 

 クリシュナは告げた。

 アルジュナよ。この世においても、来世においても、そのような人が滅びることは決してない。友よ、善をなす者は、誰も悪に赴かないから。40

 ヨーガを信じている者は、たとえその心がヨーガから逸れたとしても、善行者の世界に達し、無限の歳月そこに住んだ後、清浄で栄光ある人々の家に再生する。41

 そこで彼は、前世に得た知性との結合を得る。それから更に、成就を目指して努力する。43

 というのは、彼は前世の修行の成果をそのまま現世に持ち越すからである。44

 一方、黙々と努力するヨギは、その罪が清められ、幾生を経てヨーガを成就し、最後には解脱に達する。45

 ヨギは苦行者よりも優れ、知識人よりも優れていると考えられる。またヨギは祭式を行う者よりも優れている。それ故、アルジュナよ、ヨギであれ。46

 すべてのヨギのうちでも、私(神)に心を向け、信仰を抱き、私を信愛する者は、最高のヨギであると私は考える。47

 

  • 解説

 キリスト教では人間と神は同一ではあり得ない。ある時期、宗教会議によってそう決議されたのであるが、それを承認しない神秘主義(人間と神は同一とする)の一派もある。一方初期の仏教は神も魂もあの世も否定していたのだが、日本に伝わり花開いた仏教には、即身成仏、つまり神秘主義を唱える密教あり、阿弥陀仏による救済を唱える浄土教(これはキリスト教的とも言える)あり、計り知れない仏の営みと、一切肯定の世界を説く法華宗あり、一切を無に帰する、初期仏教に比較的忠実な禅宗ありとバラエティに富んでいる。

 バガバッド・ギータの説くヨーガはキリスト教神秘派に似ているように思う。現にギータは欧米でよく読まれ、ヨーガに興味を持つカトリック神父もときどき見受けられるが、仏教僧でヨーガを詳しく知る人は稀である。日本の仏教はバラエティに富むゆえに、系統立った理解は容易ではない。しかしヨーガは非常に科学的であり、ヨーガの理解を基礎にすれば各宗の理解も容易になる。

 ヨーガには法華的及び禅的な思考に欠けるところがあり、これを補えば最強であると私は考える。

1996年7月10日